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いろんなことを試したがりの小坂です。
今回はわれわれの仕事内容をただ、伝えるだけではつまらないので、小説風味にしてみました。不定期連載を予定しています。

facebookでメッセージが届いた。
山田工業の鈴木さんから。

[鈴木さん:ご相談です]
[鈴木さん:・・・]

目を凝らすも、いっこうに入力されず、しびれを切らして、

[私:ご無沙汰をしております。]

それでも入力されず。

名刺データ作成でカタカナのカーニング中だったので、どこだったかとあたふたしながら、カーソルをもとの位置に戻した。

optionキーを押しながら矢印キーを連打。まずまず。名刺データの作成はひとまずここまで。住所や電話番号が決まるまでは手の動かしようがなく、デザインが決まっても進まないことは少なくない。イラレを閉じた。
ちょうどその時、

[鈴木さん:こないだ、ちらっとお話しした、ベンチャーのロゴを作ってもらうことは可能ですか?]



少し硬めのソファーに腰をおろした。ピッカピカの金属の筒が無数についた塊を見ながらどんなオリエンかと思いを巡らせる。

「お待たせしてすみません」
頬を赤らめた間見さんが足でドアを閉めた。
「いえいえ、お時間を頂きありがとうございます。」
「以前から少しお話ししてました、ベンチャーなんですが、いよいよ動き出すことになりました。申請やらなんやらかんやらで、やっぱりロゴが欲しいです!」
鈴木さんは満面の笑み。
「ありがとうございます、全力でお手伝いさせて頂きます。」
鈴木さんはゆっくりと息を吐いた。
「よろしくお願いします!
 どんなながれで作って行くんですか?」

「まずはヒアリングです。どんなサービスでターゲットは誰で、ターゲットや世間にどんなイメージを持って欲しいなどをお聞きしたいです。」
「それと、そのブランドを一言でご説明いただきたいです。」
「一言で・・・・」
腕組みをして右上を見る鈴木さん。でもそのままたたみかける。

「そのヒアリングのあと、第1稿としてロゴマークとタグラインを複数案見ていただきます。
方向性の絞り込みや、ご要望を反映して行きながら名刺やウェブサイトなどのアプリケーションに展開、ブラッシュアップを繰り返し、完成させていきます。」
一匹の蚊が飛んでいることに気づいた。

「タグラインってなんですか?」
「最初の質問、そのブランドを一言で表すとしたら、に近いのですが、
ブランドの優れた点をわかりやすく簡潔に表した言葉です。
マクドの I’m Loving itとかナイキの JUST DO ITとかとか」
「それ、気になってました。CMとかで流れてるやつですよね」
先程の蚊はいつのまにか姿を消していた。

「単純にロゴだけ、絵に描いて決めて行くもんだと思ってました。思いのほか考えることが多そうですね。ちなみに期間としてはどれくらいですか?」

「最短で1月ほどでしょうか。
ヒアリングのあと、コンセプトとともに第1稿を1.5〜2週間で提出します。
一案に絞って頂ければ、展開例とともにブラッシュアップ案を提出、チェックバックを残りの2週間で複数回やりとり後、レギュレーションとともに納品になります。」

目を丸くした鈴木さん、
「けっこうかかるんですね。レギュレーションってなんですか?」
「ロゴマークを使うときの決まり事をまとめた、取り扱い説明書みたいなものです。背景に暗い色が使われているときにはどのように配置するかとか、色の指定とかです。様々なメディアで説明書にのっとってロゴマークを使ってもらうことでブランドのアイデンティティが保たれます。」
「このレギュレーションづくりも結構大変なんです。」
「ふーーん」
静寂が会議室を包んだ。こんなときは時計の音が聞こえてくるのだが、なぜだか聞こえてこない。難聴にでもなったか、と疑うぐらい。

「ただ、スタートアップなのでスピード感は大事です。細かいことは二の次でブランドをストレートに表現したロゴをとりあえず作ってしまう方法もあります。Air B and Bなども実績が出てきてからロゴをリニューアルしましたし。
その場合は、キャッチーなモチーフがあれば強いです。覚えてもらうのが最優先ですから。」
キャッチーという言葉が伝わるかどうかと少しドキドキ。

「どちらかというとスピード感が欲しいかな・・・、第1稿後のやりとりを出来るだけ簡略化して覚えてもらうことを優先させたいかな。」

「ロゴのお仕事は結構多いんですか?」
「ウェブサイトのご発注を頂く際に合わせて、というのが多いですね。ロゴから広げていくのが本来なのですが、オマケとして考えておられる方が多いようです。」

「私もウェブや名刺のデザインの中の一つの要素に過ぎないと思っていました。ロゴは大事なんですね。ホントにどう進めていいのやら解らないことだらけだったので、すぐに来て頂けて助かりました。」
さっき、見つけた蚊が再び、頭上を飛び出した。

株式会社 ヤップ kosakanorifumi

小坂典史

グラフィックデザインからWEBデザイン、CG制作、ディレクション等を経験する中でコンテンツの発信力や企画力が大事だと遅ればせながら気づく。ライティングや、マーケティング、新たなツールの可能性を日々勉強中。

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